あいつに会ったらやってやろう

前、二宮がテレビで言ってた。「道ばたで気づかれたと思ったら、一度追い越される。で、確認のために振り向く奴が多い」と。話しかけちゃいけないなという気持ちと、でもやっぱり「嵐の二宮じゃん」の気持ちが葛藤して、後者が抑えきれなくて振り向いてしまうのだろう。私だって絶対に振り向く。というより、追い抜かさずに尾行してしまいそうである。
まだ売り出し中のアイドルだと、握手会が終わった後の新宿駅で遭遇して「○○さんですよね?」って話しかけたら「気づかれたの初めてなんです〜」「嬉しいです」って握手してくれたりする。残念ながら私の経験談ではない。
しかし、ある程度売れてくると、ほとんどの人が嫌でも気が付くようになる。そうなったら「応援してます」「がんばってね」のメッセージだけでも、もう私的領域を侵されたようにしか感じられなくなるだろう。嬉しいって思わなきゃいけないんだと頭で理解していたとしても。
だけど私は道ばたの二宮を放っておくことができない。かといって「好きです」以上に言いたいことがあるわけでもない。
その結果、思いついたのが「二宮と気づいていないふりをして道を聞く」だ。嵐? なにそれ。嵐の、誰だっけ、櫻井くん? と、いつぞやの24時間テレビにおける小学生女子なみの認知力で自分をだます。そして「あのー、駅ってどっちでしたっけ」とか適当に聞く。大宮駅ってどっちでしたっけとか、満員電車に乗って駆け抜ける憂鬱の駅はどこですかとか、嵐を知ってる雰囲気をみじんも出してはいけない。
私「すいません」
(げっ、気づかれた。無視しようかな)とうつむく二宮。
私「あっ、あのー駅どっちですか?」
(えーーー俺のこと知らないのかよ!)
(まだいるんだなー知らない奴)
二「こっちですよ」
私「ありがとうございます」(やったあああああ)

頭の中はホッピンシャワーだ。