一時停止しやがれ

千原ジュニアがゲストの「しやがれ」を見た。ジュニア、話すときに嵐5人の顔をまんべんなく見ていてすごい。オチもつけるしフォローもするし、芸人の「芸」とはこういうことかと思った。
今回はトーク術を学んだわけだが、嵐はすでに「しやがれ」の中で一定のトーク術を身につけている。

  1. 「それってそんな短い時間で教えきれるものなんですか!?」と、率直な相手への尊敬表明テク&相手に無理を言ってごめんねと伝えるテク。
  2. 「そうは言っても、なかなかうまくいかないでしょう?」と、通販の「でも、お高いんでしょう?」的な、期待を下げておいて、うまくいったときの感動を倍増させる一度落としテク。
  3. 「そんなの俺できるかな〜」「無理だ!」と、さも相手が簡単そうにやりのけたときに、素人との違いを見せて相手のすごさを際だたせる謙譲テク。

この番組は、本編にしても「未知との遭遇」にしても、人からものを教えていただくのが基本のため、こうしたテクや反応ができれば、話は穏便に進む。最近はそれがうまくいきすぎて、即興がテーマであるにもかかわらず、予定調和の安心感が漂っているように見える。
それが悪いというのではない。今回はゲストのトークテクと嵐のテクが噛み合って、私はとても楽しんで見ていたらしい。というのも、これまでは脇毛を抜いたりマニキュアを塗ったりしながら見ていたひどい視聴態度だったのが、今回はなんとリンゴを食べながらという慎ましさ。しかも席を立つときに「一時停止」ボタンを押したのである。今までは早送りこそすれど、わざわざ一時停止せず、多少見逃してもいいやと思っていた。
リンゴをかじりながら「一時停止」を解くための再生ボタンを押し、そんな自分の態度に気づいた瞬間――もうそれまでの私ではなかった。「ながら見」どころか、開始から数十分、ひたすら松本潤の唇の雄弁さに注目していた自分に気づかされたのである。「ほー」と感心を示すためにO型に開けた唇、「ふ〜ん」と聞くときのやや尖った唇、笑ったときの∇パカ、「おいおい」と、わざとずらした左右の口角。松本は、鼻(から上)より唇。