100%中二病――青の炎

注:本文は、タイトル以上に、映画「青の炎」を貶めています。生産的な批判ではありません。ネタバレもしています。出演者、監督、脚本家、原作者、この映画を好きな人は読まない方がいいです。




もー。「はてな」がいちいち改行するから、AAがうまく表示されないっつーの。

さて、今さらであるが「青の炎」を見た。私は二宮よりは一時期の松浦の方がよっぽど好きである。二人がこの映画で共演したことは知っていたが、松浦はまだ売り出し中だったので、「あれ? 二宮ってジャニーズ、つまりエリートなんでしょ? よくハロプロが共演できたな」と、嵐って意外と売れてないのかもと思ったことを覚えている。

  • 見始めて、手のアップが退屈で早送り。
  • 始まってみると意外と面白い。二宮の声が高いし、今以上にひょろひょろしている。少年だ。
  • 部屋の暗さと、ガレージを部屋にしちゃってるのが一気にファンタジー。これじゃ勉強できない。
  • 部屋にごちゃごちゃある飾りもいちいち主張していてうっとうしい
  • ロードレーサー気持ちいい。鎌倉、江ノ電、懐かしい。この映画は、乗り物と風景に支えられている。
  • 教室のシーン、周りの同級生が大根なのか演出が悪いのか、やたら過剰である。二宮は自然で、やっぱり演技うまいんだなーと思った。
  • が、松浦と話し始めた途端に、二宮もかなりの大根演技に。引きずられているのか、これが元々の能力なのか。
  • 家族の和気藹々シーンに工夫がない。こんな家族はどこにもいない。鈴木杏が妹って重すぎる。そしてこんな家族で育ったら、主人公はあんなにひねくれないと思う。
  • 弁護士や警察など、大人の「専門家」を、一見親切だが無能そうなすごく気持ち悪い存在として描いているのが気になる。なにかメッセージを込めているのだろうか。
  • 唐沢寿明の「帰りたい♪」は笑ったが、美術の先生の竹中はステレオタイプの変な先生で面白くない。
  • 松浦演じる「のりこ」とよりも、妹や母との関係の方に恋愛の色を感じる主人公。ブラコンでありマザコンである。
  • 水槽で寝るな。
  • テープに証拠を吹き込むな。
  • ちゃんとした蛍光灯つけろ。
  • 殺人と自殺に至るまでの葛藤がなさすぎる。
  • 父親がそんなに脅威に見えない。身体の大きさも伝わってこない。
  • DVとモラハラに負けて、子どもを守れない駄目な母親像はやたら的確。
  • 「水槽は落ち込んだときの象徴ですよ〜」「二人の指の絡み合いはセックスの婉曲ですよ〜」って、押しつけがましい表現が鼻につく。
  • 最後、「美しく死んだ」ような表現されても。ぐちゃぐちゃの死体、警察動員、ゴシップ的に書かれてしまう家族、運転手も有罪、担当の警察官も左遷……など、なんの解決にもなってない。大体、せっかく飛び込んだところで切ったのに「suicide♪」って絶唱されたら、「自殺ですよ!」ってだめ押しされて余韻もなにもない。
  • 松浦は全体的に癌でしかないが、最後のアップはあれはあれで良かったと思う。よくわかんないけど色んなこと考えて悔しいと思ってんだろうな、よくわかんないけど、って感じが出ていた。
  • テープに吹き込んだ「好きなもの」が村上春樹みたいな趣味。あいつ、そんなに詩人じゃないだろう
  • 水族館や恐竜博物館も「こんな場所、雰囲気あっていいっしょ」という押しつけがましさ。

私には蜷川氏の良さがわからない。セットも風景も乗り物も、「こういう意味をこめていますよ」という主張の表現でしかない。全てを主張の表現として使えることが逆にこの人の良さなのかもしれないが、私はもっとフリーに見せて欲しい。想像の余地を残して欲しい。なにもかもが説明過多だと感じた。10代で消えてしまう「青い」鋭さみたいなものを感じ取ってほしかったのだろうね。「こう思って欲しいのね」ということはわかるが、見ていて自然に「こう」とは思えない。
そして、私は二宮の演技を上手いと思ったことが、実はほとんど無い。「ハリウッド俳優」と言われるが、それもそこそこ著名で昭和顔で身長が低くてひょろいところ、要するに立場と外見で選ばれたと思っている。怒りのシーンが叫んでるだけにしか見えないし。それは流星の絆でもそうだった。唯一、身体障害者の模倣はすごく上手だと思って感心したことがある。
蜷川も二宮も世間一般には評価されているようなので、私にはよほど見る目がないのだろう。映画と演技の良さってものが、私にはわからない。
この映画の中で好きだったところは、
自転車に乗る、じゃなくてロードレーサーに乗る二宮の疾走感。
殺人がばれなかったことにベッドで笑い転げる二宮。
二宮をかばって同級生がばらばらの証言をしたというベタだけど美しい友情。
江ノ島へ行きたくなった。