キューピッド相葉

私の行きつけのマンガ喫茶には、AKBの写真集専門の棚がある。その隣には、『GANTZ』と『バーテンダー』専門の棚がある。狙いすぎだ。
いつも「かゆいところに手が届く店だ」と思いながら、なんか悔しくて手を出さずに来た。が、トレンチあいばがとても良かったので、『バーテンダー』の1巻だけ読んでみた。面白かった。
思えば私は、オキ・シローの書いた特に面白くないカクテルうんちく小説を何冊か読んだことがあるし、そもそも酒が好きだし、マンガも大好きなので、この作品を好む素地は多分にあったと言える。
しかし、原作を読んでみて「佐々倉を嵐の中から選ぶなら、やっぱり相葉だよね」と強く思うと同時に、「でも明らかにマンガの佐々倉さん、ドラマの佐々倉じゃない」と感じた。なにが違うのかはまだわからない。

さて、巷で噂のバーテンダー、今回は私の好きなサトエリが出ていた。気持ちがほとんどサトエリに持って行かれたせいもあってか、先週は「こんなバーテンダーのいるバーに通いたい」と思いながら見ていたのが、今週は「こんなバーテンダーのいるバーに通って、微笑ましく見守られながら恋愛したい」に変わった。
この後、オキ・シローの才能の百万分の一もない駄文と妄想が続くので、いつでも降りて欲しい。

毎週金曜の23時15分にやって来る女性客。
彼女のお目当ては、佐々倉の同僚のバーテンダーだ。同僚は、佐々倉と幼い頃から同じ習い事をしていて、よく帰り道にラーメンを食べた仲でもあった。
件の女性客は驚くべき手練で同僚の心の隙間に入り込み、いつの間にか同僚は金曜日の夕方になるとそわそわするようになる。彼女のために新しいマジックを仕込んだりもする。
そんな同僚と彼女を見て、佐々倉は裏番組のライアー・ゲームにも出演しているすごく印象的な風貌のもう一人のバーテンダーと顔を見合わせて微笑む。
「あの二人、いいよな」
<キューピッド相葉編・END>

私は皆さんが心配だが、きっと皆さんは私を心配していることだろう。
わかってる。わかっているけど続けたい。

ある日、佐々倉の同僚は突然姿を消してしまった。周りのバーテンダーたちは理由を知りたがり、ショックを受けていたが、佐々倉だけはうっすらとその事情をわかっていた。
金曜日の夜、いつもの彼女がやってくる。明らかに泣きはらした目をしている。佐々倉はこういうとき、ストレートに慰めることはしない。ただ黙って、いつも同僚が彼女に作っていたカクテルをトロピカルでハワイアンな感じに仕上げ、「わー、パイナップル刺さってる」と彼女を笑わせてあげるだけである。
彼女「ありがとう。佐々倉さんのおかげで元気出ました」
佐々倉「いいんです。あいつとはあんなことがあって、つらいだろうけど、またいつでも来てくださいね」
彼女は笑顔を見せて帰って行った。そして翌週から、彼女は新しい目的のために、またこのバーに通い始めるのだ。
<あんなことってどんなこと編・END>

ドラマが悪いのでもない、原作が悪いのでもない。
私が悪かった。
最終回も必ず見る。