妖精 in 屋久島

妖精が不思議な力を使って家に来てくれたので、ありがたくSKYWARDを読んだ。A4で5ページ、うち写真が見開き2ページ、インタビュアーとともに屋久島を散策する様子が3ページ。次の内容が印象に残った。

  • 晴れ男か? と聞かれて「スタッフさんが晴れる日を選んでくれているんですよ(笑)」。

こういう返し方のテクニックを、相葉はいくつ持っているのだろう。自身をほめられたわけではないので、「そうです、晴れ男です」と答えたって全く嫌味にならないのに。彼にとって「いい天気を選ぶ」「天候を調整する」という話題は、ただの世間話ではなく、重要な仕事の一部なんだと知る。ロケもライブも天気が重要な規定要因。だからこそ「晴れ男なんですよ」でなく「スタッフのおかげ」なんてことばが出てくるのだろう。天気が左右するのはせいぜい靴ぐらいの私とは、生きている世界が違う。ほんの小さなことだが、妙に実感させられた。

  • わき水を飲んで「甘い! でも味うんぬんより、森の中でこうして飲めるってこと自体がすごい」。

味の良さや違いがそれほどわからないとき、私ならこう逃げると思った。

  • 屋久島へ行ったことのある友人に、ある温泉を訪ねるよう勧められたという。「“すげーいいから”って」。

会話の中で、それが男友達であることを示唆する相葉。こういう技術も山ほど持っていそうだ。たとえ実際は「すっごくいいから、行ってみてほしいな♡」と言われていたとしても。

  • その温泉について「風呂好きとしては、行かないわけにはいきません」。

へー。そんなに言うほど風呂好き。(知るだけで満足、単なるヲタの喜び)

  • 旅は予定を詰める派で、一人旅をしたことがない

「時間がもったいない」と思うのだろうし、実際に時間が無いからこそ予定を詰めるのだろうが、一人で旅に出たことがないのは意外。「どうせ行くなら人と行かなきゃもったいない」と感じるのか。旅行=リフレッシュではあるが、「一人でのんびりする時間がほしい」とは思わないのが相葉。
(JAL機内誌『Skyward』2011年9月号。記憶違いも含む)

このインタビュアーは相葉のことを「“自然体”と評される」と書いている。どうも「描きたい相葉像」があって、それが実態より優先しているように読めてしまった。たとえば「あちーっ」「冷たっ」と素直に感情を表現する相葉、五感を使ってのびのびと自然を楽しむ相葉、「動物にはいろんな愛し方がある」と動物観を語る相葉。ほかにも「屈託のない笑顔と素直な反応」「動物をこよなく愛し」といった記述が並ぶ。これらは確かに相葉の一部なのだろうが、そんなに当たり障りのない人なのだろうか。
本人の姿があまり見えないように感じたのは、相葉のことばがきれいに編集されているせいもあるかもしれない。相葉の無邪気さを演出するかのように「すげー気持ちいい!」などのセリフそのままらしい記述も混ぜられているのだが、基本は「とても〜だし、〜と感じます。」「〜になる。」など、誰もこんな話し方はしないだろうという説明口調で書かれている。
こうした姿は、「櫻井を千葉でおもてなし」の相葉とはちょっとギャップを感じる。「意外と人見知り」「まじめになることに照れない」「わりとよく目が泳ぐ」「変なところで強気」。そういった姿を屋久島では見せなかったのだろうか。
しかし、このようにインタビューに対してちょっとした引っかかりを感じたのは、決してインタビュアーのせいではなく、
写真がすばらしすぎたから。
緑一色の風景にモンベルの赤いジャケットが際だっている。そして実は私は、相葉のメンバーカラーは緑ではなく赤がしっくり来るんじゃないかとずっと思っていたのだ。赤が本当によく似合う。さらに立ち姿や体育座りする姿、なにげないのに雰囲気があってモデルのようだ。相葉は顔の造形の美しさはもちろんのこと、「たたずまいがなんかコンパクト」なところが美形だなと思う。写真があまりにも雄弁なので、その後の文章がかすんでしまった。
私も赤い服を買おうと決めた。