拝啓 十五の君へゲーム

テレビの前が寒いせいかレギュラー番組がつまらないせいか、皆さんご存じのとおり、最近は茶の間を離れた一人遊びばかりしている。一つ、豊富な展開力のある遊びを思いついたので紹介したい。

私に息子がいたとする。彼の部屋はいつも汚く、洗濯物も山積み。そこで親切心から洗濯してあげたところ、「ヴィンテージのジーパンだったのに」と怒り狂い、口をきいてくれなくなる息子。
私と息子は険悪な雰囲気で、お互い一言も発さずに見合っている。なんと親心のわからない子どもだろう。私はすーっと息を吸い、車にひかれたカエルのような声で始める。

「モラルのーない物語(はなし)があるんだ♪」「どうやって君に伝えればいい♪」
「ねえ、翔、どうすれば伝わるのかな」
「ya so cute 二番煎じ♪」
「翔こそ私の二番煎じ(=息子)だよね」
「つけてます メリハーリ♪」
「だったら掃除くらい自分でしようね」
「えーえむえぬおえすカミカゼー♪wwwwwwwwwwwwwwww」
「翔、よく真顔で歌えるね」「まじすごい」「翔、自分で聞いて恥ずかしくない」「翔、親戚の人にサクラップって何って聞かれたよ」「翔、お母さん相葉ちゃんみたいな子がほしかったな」「なーんて嘘、嘘」「あ、翔」

背を向け家を出る息子。旅立ちの朝だった。<END>

もちろんラップ部分は入れ替え可能。無限の組み合わせ可能性が広がっている。この世界にたった一人、こんな遊びを二人で遊べてしまう人がいる。羨ましい。