24時間テレビ〜茶の間は沈没する〜

朝、24時間テレビが放送されているギリギリまでを見て、レコーダーを整理し、出勤する。出勤中、チャリTシャツを着て大荷物を持った女子高生が「改札どこから出るんですか」と駅員に聞いているのを見て、千円札を託したくなる。仕事。帰りに7人の男とデート。帰宅して、すぐに24時間テレビの録画を見る。1時間後、撃沈。テレビの前で居眠りしていた。
このように、ふつうの仕事をして一方的に快楽を享受するだけでも沈没してしまうのに、24時間きれいな笑顔で他人から見られ続ける芸能人はすごい。それでなお歌ったり踊ったりしてしまうアイドルはさらにすごい。いつもの収録では放送されない分まで仕事しなければならないのだろうから、24時間一発撮りでやってしまうなんて、彼らにはかえって簡単なんじゃないかと思っていた。とんでもないことだ。茶の間でベンチを温めるだけでも寝てしまうというのに。
というわけで翌日、改めて見た。薄れゆく記憶で印象に残っているのは、

  • ダーツの旅
    • 櫻井、うまい。「将来なにになりたいの?」(野球選手)「どこのチームが好き?」(巨人)「誰か好きな選手いる?」(○○)「へぇー。どんなところが好き?」。このように、あいづちを打つ前に質問を次々浴びせることで、会話を弾ませてしまうのだ。しかも「どこのチームが好きか」以下は、何と答えられようと共通して使える質問である。聞き手に野球の知識も必要としない。だてにキャスターやってない。
    • また、櫻井はわりと遠慮がちに見えた大野・松本・二宮に比べて、ズカズカ具合が上に感じた。「今、よろしいですか」というような一言なしに、とにかくズカズカ入っていく。会話にも態度にも勢いがあって、これは良い意味で追い返しにくいなと感じた。
    • ダーツの旅の映像が終わった後、「時間の都合で全員を放送することはできませんでしたが」と、一人だけ添えた相葉も印象に残った。期待してテレビを見ている住民たちの気持ちをよくわかってくれている。
  • 高校生ダンス甲子園
    • ここだけ早送りしなかった。
    • DJ風にテンションをあげて話す大野が新鮮で面白い。うまいんだけど、なにか違う。でもうまい。半分演技している大野の姿。どこか、こそばゆい気持ちで楽しんだ。
    • このコーナーに大野を採用してくれてよかった。
  • 被災地の吹奏楽部を松本が指揮
    • 上手なバンドは指揮者がいなくても演奏に困らないので、まあ前に立って振ってくれればいいよね、あんな顔が前にあったら演奏も気合い入るよね、くらいに低く期待していた。
    • 思い切り裏切られた。
    • とつぜん佐渡裕のもとに向かう松本を見て、「けー、ブルジョワ」と思ったのに、やっぱりまじめにレッスンする松本を見ていると、だんだん打たれてくる。本番も見守られているなんてたいへんなプレッシャーだ。
    • そして本番のあの振り。どれだけ練習したのか伝わってくる。
    • 部長が松本のことを「松潤」ではなく「まっつん」と呼んだことからも、どれだけ部員たちと関係を築けたのかが伝わってくる。
    • 演奏し終わって、思い切り泣いてもいいのに、意地でも泣きに入らないようにガマンしながら涙の粒をあふれさせてしまう松本の顔。この人、この経験をただのテレビの企画ではなくて、本当に人生の転機にしたんだなと思った。
  • 未来への手紙
    • いろいろ考えた結果、「未来とは今」という結論に至る二宮と櫻井。かぶりたくなかっただろうなと思うが、でもグループらしい。
    • 二人とは対照的に、素直に「○年後の自分」へ手紙を書く大野と相葉。これもグループらしい。
    • 「これからは、いろんな境遇にいる人たちの背中を押したり支えたりしてあげたい」と言う松潤。「世界中の人たちを幸せにする」が、より具体的になった。初志貫徹。実際、何度そうしてもらったかわからない。
    • 嵐はこうして、何度も自分自身や仲間、家族に向けて手紙を読んできた。反対に手紙を読まれることもあった。まるで結婚式のように。もうそういう役目からは解放してあげたい気もする。

初めて24時間テレビをまさしく24時間分、早送りしながら見た。こんなに長い番組だとは知らなかった。5人ががんばっている姿を見て励まされ、松本の指揮と櫻井のサッカーで目が潤んでしまった。オープニングでも感じたとおり、5人を見てパーっとなった。解放されて、華やいだ。嵐は茶の間を救った。
今回は歴代苦手OGが2人出ていたために完全に出番を早送りしてしまったモーニング娘。が、また嵐のように3回目のパーソナリティーを務められる日まで見守ること。それが私の「未来」だ。