世界を暗くはさせない二人

相葉がラジオでこぼした「忙しくて、5年前の自分なら逃げている」。そこで大変なロケの一例に挙げられていた深夜の銀座線でのロケ。今見ているのだが、全然眠そうに見えないし、いつもと変わらず誠意を持って撮影に臨んでいると思う。かっこいい。

そんな相葉が、Mステスーパーライブで紅白の司会について「怖いですね」とぽろっと言った。本気でというより、間を埋めるためという感じで。すると間髪いれずにJが


「怖くないよ! 楽しいよ」。


強がり!
女の子を無理に口説いてる男みたい!

じゃなくて、強がりだとしても「楽しいよ」まで言ってくれるところがJのJたる所以である。強迫観念のようにまっすぐで、宗教的なほど善なる方向へ導こうとする切実な明るさ。私はこれから何度もJの言葉を思い出すだろう。


この三年、複数のグループを束ねる仕事をしてきた。グループの中に一人でも「まじめにやるのは恥ずかしい」「少しでも給与よりさぼりたい」人がいると、よほどの反対勢力がない限り、雰囲気も能率も悪いグループになってしまう。それを阻止するのはかなり難しい。
反対に、一人でもてらいなく「さぼるなんて恥ずかしい」「少しでもいいもの作りたい」という人がいると、誰もじゃまできない。苦笑しながらも皆がその人についていくことになる。
櫻井が「櫻井・有吉THE夜会」でV6の岡田くんと対談したとき、岡田くんが「Jから相談をしたいと持ちかけられたが、受けとめる自信がなくて断った」と言うと、櫻井は「ああ、彼のまっすぐさを受けとめられないと思って」と笑っていた。あいつのまっすぐさ、ちょっと困りますよね、という共感とともに、そんな相手といつも渡り合っている自分を含めたグループへの誇り、いつでもどこでもまっすぐなJへの敬意も感じられる一言だった。

もし嵐にJと相葉がいなかったらどうなっていたか。ものごとを斜めに見ることもできる櫻井と二宮が、「そろそろ辞めたい」「俺も」と言い合っているうちに引き返せなくなってしまい、そこへ本気で辞めてもいいと思っている大野が「じゃあ」とあっさり肩を押し、嵐は終わっていただろう。
そこへ「トップになるって夢、絶対叶えようね」という臆面もない発言とか、冗談でも辞めると言ったら泣きながら面談を申し込んできそうなまっすぐさとかがあったら、うかつにネガティブな発言はできない。二人のまっすぐさがスーパー防波堤として機能していたのだと思う。そして二人の良心が汚れないように守り続けてくれたのが他の三人だったのだろう。
この五人がこれからもいてくれたら、私はなんでも怖がらずにやってしまうかもしれない。そのせいですごく幸せになっちゃうかもしれない。幸せすぎて、「怖い」。