この物語はフィクションです

ふとスマホを見たら、ネットニュースに文字が躍っていた。

「櫻井 結婚」

大慌てでテレビをつけると、たくさんのスポーツ新聞の一面が映し出されていた。笑顔の櫻井の写真と、大文字で「嵐二人目」「結婚」のキャプション。

えっ、もう?

あっ、もう?

嬉しそうな櫻井の顔に、黒と白のマーブル模様の感情になる。感じたことのない思いに、別の世界に行ってしまいそうになる。私は、私は

 

 

 

 

 

時計を見る。朝9時。

集合時間は10時。出張中で疲れ果てており、昨日は風呂にも入らずに寝てしまったのだ。6つかけたアラームは全てオフにしていた。

絶対に間に合わない。どうする。体調不良と言って休むか。いや休めない。遅刻か。なんとかならないのか(この間5秒)。

10分でシャワーを浴び、タクシーを呼ぶ。マスクのおかげでメイクは目から上だけに省略できる。震えながら移動し、9時55分。

 

 

間に合った。

 

櫻井、ありがとう。あんな衝撃的な夢を見なかったら、完全に寝過ごしていただろう。すごい方法で私を起こしてくれたと受け取っている。

その日、しばらくは「あれは本当に嘘なんだよね」と落ち着かなかった。