どこか寂しいはじまりに

半年前、茶の間に特大の雷がビシャーンと落ちた。

ちゃぶ台は真っ二つに割れた。私の心も割れた。

しかし、テレビだけは傷つかなかった。

 

恐る恐る電源を入れると、そこに映る姿は、歌えば輝き、しゃべれば面白く、幸せ太りと言われるのを回避するかのように変わらずシュッとしていた。

私は液晶の向こうには行けない。しかし、雷の後でさえ、やっぱり茶の間にいた。

つまり二人の距離と関係は、ここで決定的なものとなった。変わらないし変われないものとして。

 

それから大慌てで荷物をかき集め、家を出る準備を始めた。そして今日入籍し、新しい家にまたちゃぶ台を置いた。

皆さん「まさか」と心配していると思うので一応言っておくが、相手はAでもMでもOでもSでもない。Jは「彼女にするなら朝型の人」と言っていたのであきらめた。ごめんねJ。

 

百年先も 茶の間にいるよ

本当だよ こわいだろ